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五十一、法華経の肝心の意

日顕上人猊下御指南

 南無妙法蓮華経の題目は、法華経一部の肝心である。その理由は、法華経二十八品が説かれたのは、その元が存するからである。釈尊は寿量品において、五百塵点劫の昔の成道を示された。これより顧みると、釈尊がインドに出現し、一代四十余年の諸経および法華経を説かれたのは、五百塵点劫の本果成道を元として、そこより垂述した立場である。故に、霊山で説かれた法華経二十八品は、久遠より垂述した化導のなかの利益であり、釈尊の真実の本門の利益は、久遠本果成道の時、指し示すところの本因成道に存するのである。さらに、本門文底の本義においては、本果の奥に本因の修行と最初の仏道証得があり、そこに本源の久遠元初の成道が明かされた。この元初の凡夫即極の仏体を顕し給うのが、末法出現の日蓮大聖人である。釈尊より委託された結要付嘱の法体は、まさにこのところであり、これを下種の三大秘法として顕されたのである。この根本法体の南無妙法蓮華経より、垂述の二十八品もあらわれたのであるから、南無妙法蓮華経二十八品の経題であるのみならず、その根本の肝要法体である。題目に法華一部がすべて具わり、題目は本、二十八品は迹であるから、題目を唱えることは、一部を読む功徳に超越するのである。

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