五人土篭御書 文永八年 十月 三日 五〇歳
今月七日さどの国へまかるなり。
各々は法華経一部づゝあそばして候へば、我が身並びに父母・兄弟、存亡等に回向しましまし候らん。
今夜のかんずるにつけて、いよいよ我が身より心くるしさ申すばかりなし。
ろうをいでさせ給ひなば、明年のはるかならずきたり給へ。
みゝへまいらすべし。
せうどのゝ但一人あるやつをつけよかしとをもう心、心なしとをもう人一人もなければ、しぬまで各々御はぢなり。
又大進阿闍梨はこれにさたすべき事かたがたあり。
又をのをのゝ御身の上をも、みはてさせんがれうにとゞめをくなり。
くはしくは申し候はんずらん。
恐々謹言。
十月三日 日 蓮 花押
五人御中
せんあくてご房をばつけさせ給へ。又しらうめが一人あらんずるが、ふびんに候へば申す。