新天地イエス教会(以下、新天地)とは、正式名称を「新天地イエス教 証の幕屋聖殿」という。
一九八四年に韓国のキリスト教から派生した新興宗教で、本はソウル近郊のベッドタウン・京畿道果川市に置かれている。
教祖イ・マンヒ(李萬煕)は自身を「イエス・キリストの再編」「今の時代の救世主」といい、他のキリスト教を否定し、自分こそ神の教えを正統に引き継いでいると主張。同じく帰国で創設されたキリスト新宗教の旧統一教会に比べて、ネームバリューは小さいようだが、創立から四十年を迎え、信者は韓国内に約二十八万人、国外に約三万人いるとされる。
強勢は世界九十六カ国に及び、なんと、日本国内にも都内はじめ複数の拠点があるようだ。
日本人がターゲット?!
コロナ禍から息を吹き返した海外旅行で、近場の韓国はK-POPやファッション、化粧品や韓国料理などが楽しめるとあって、人気が高い。そんななか、日本人旅行者や留学生が、この教団のターゲットになっていると聞く。
ある報道番組で元信者が、「コロナ以降は特に外国人への勧誘に力を入れているようです。韓国人は『新天地』への拒否感がありますが、外国人はそれがないので布教が簡単なんで遊びに来てくださる外国の旅行や留学先として韓国の人気が高まる裏で、日本人を狙った勧誘が活発化している」(AN N報道)と警鐘を鳴らしていた。その発言を裏付けるように、教団のホームページやユーチューブなどの動画サイトには、日本語版のセミナー動画や布教用の教材が山のようにある。
どんな教え?
新天地は、教祖が独自に聖書の内容を解釈した教えを聞き、それを広めることを主な活動としている。 そして、「新しい国と新しい民族を創造する」と謳い、教祖が人々を滅亡の淵から解放して新しい命を与え、この教祖の言葉を聞き従うことで永遠の命が得られるとする。
ただし、世界の終末に救うのは全員ではなく神に選ばれた十四万四千人(ヨハネ『黙示録』をもとにした救済の数だけを教祖が天国連れて行くそうだ。
どんな活動?
既にそれ以上の人数の者がいるため、彼らは天国に行ける十四万四千人に選ばれるべく、互いに地位を競って、勧誘活動に邁進するらしい。
そうした背景もあるのだろう。熱心な信者が、日本人の好みに合わせて、韓国の音楽や韓国語の語学学習を通じての日韓交流を謳うセミナーを設けるなど、あの手この手で近づいて、巧みに人集めを行っている。
文化交流の雰囲気を醸しつつ近寄って、突然主催者が新天地の教えを話し始め布教活動が勧誘の常套手段だそうだ。参加者は、当然のことながら「宗教の勧誘とは一言も聞いていなかった」となる。なお、勧誘活動を行っていた元信者のうち約五十人が「正体を隠して布教活動」をさせられたことに対し「失った時間を返せ」などと集団訴訟を起こし、デモを行った事実もある。
とする。
誤った信仰は罪業を積む
この新天地のような教条主義的な宗教の特徴として、あらゆる面において教主の言葉に服従することを強調し、人々の理性を麻痺させ、疑念を受け付けない。
対して正しい宗教とは、正しい法義と正しい本尊を解き明かしている。そして、その実践によって、一人ひとりの生命力を蘇生させ、力強く人生を開拓して、真の幸せな境界を築く力がある。教・行・証が具わり、明解なのである。
せっかく信仰心を起こしても、対象となる宗教の正邪により、菩提にも罪業にもなる。日本人は『立正安国論』に、「早く信仰の心を改めて速やかに実の一善に帰せよ」(御書二五〇ページ) と、正法に帰依すべきことを諭されている。
私たち法華講員は、この手の新興宗教がひたひた広まっていることを認識し、若者たちが絡め取らないよう、折伏の手をゆるめてはならない。
(大白法令和7年1月16日号より転載)