大白法 平成27年10月16日付
報恩とは、私たちが縁する一切のものの恩に報いることを言います。
日蓮大聖人様は、『開目抄』に、
「仏弟子は必ず四恩をしって知恩報恩をいたすべし」(御書530)
と、仏法を信仰する者は、まず、四恩を知って感謝し報いることが大切であると仰せられています。
四恩とは、『上野殿御消息』に、
「仏教の四恩とは、一には父母の恩を報ぜよ、二には国主の恩を報ぜよ、三には一切衆生の恩を報ぜよ、四には三宝の恩を報ぜよ」(同922)
と示されるように、父母の恩、国主の恩、一切衆生の恩、三宝の恩の4つを言います。
父母への報恩とは、私たちを生み育て、さらに大聖人様の仏法を信仰させてくれた父母に孝養の誠を尽くすことを言います。
国主への報恩とは、私たちがこの世の中で衣・食・住など、あらゆる面で恩恵を受けつつ生活できるのは、国家社会のお陰であると感謝することを言います。
一切衆生への報恩とは、私たちの生活は、家族や友人など、社会の一切の人々によって成り立っています。また、多くの衆生がいなければ、その人たちを救っていくという菩薩の願いを発すことはできません。このように、私たちは、多くの人との縁により支えられて生きていることを感謝することを言います。
最後に、三宝への報恩とは、仏・法・僧の三宝の広大無辺の御恩に感謝することを言います。
すなわち、仏の恩とは、すべての衆生を平等に救済してくださる仏(大聖人様)の大慈悲に感謝すること。法の恩とは、諸仏の師である法(本門戒壇の大御本尊)に対して感謝すること。そして、僧の恩とは、仏宝・法宝は必ず僧侶(日興上人以下の御歴代上人)によって護り伝えられている付嘱伝持の恩徳に感謝することを言います。
日蓮大聖人様は、『四恩抄』に、
「末代の凡夫、三宝の恩を蒙りて三宝の恩を報ぜず、いかにしてか仏道を成ぜん」(同268)
と、末法の衆生が成仏するためには、四恩の中でも、特に下種三宝の恩を報ずることが大切であると仰せられています。
よって、日々の勤行・唱題・折伏に励み、毎月の御報恩御講への参詣、総本山へのご登山など、信心修行に精進することが真の報恩となるのです。
★ポイント
総本山第26世日寛上人は、『報恩抄文段』に、
「問う、報恩の要術、其の意は如何。答う、不惜身命を名づけて要術と為す。謂わく、身命を惜しまず邪法を退治し、正法を弘通する、則ち一切の恩として報せざること莫きが故なり」(御書文段384)
と御指南され、正法弘通の折伏こそが報恩行の要であると説かれています。