法華経に
「方便の門を開いて真実の相を示す。」(法華経・法師品328ページ)
とあり妙とは方便の門を開くことである。
その内容とは、教・行・人・理について方便がある。
教において蔵・通・別の三教は方便で円教が真実であり、また、これを具体的に説いた経典では華厳・阿含・方等・般若は方便で法華経が真実である。行では爾前経で説く諸行が方便であり、法華経で説く受持・読・誦等が真実である。
人においては諸経のそれぞれに示す修行の人の位は方便で、法華経に説く位が真実である。理では、蔵教の但空、通教の体空、別教の但中の理が方便で、円教の円融中道の理が真実であり、また経の部に約せば、華厳の別・円、阿含の蔵教、方等の蔵・通・別・円、般若の通・別。円は、それぞれ蔵・通・別が混じる故に方便で、法華の純円が真実である。
妙の一字は、これらの経教が方便不真実であることを決するとともに、このすべては妙の一字より種々の機根対する方便として出生したものであり、したがって法華経以外の諸経の教・行・人・理は、法華経から開かれたところの所開であり、それらはことごとく法華経の体内に帰するのが能開の意義である。題目は、このすべてを含む故に、唱題は
一切経教の功徳を具えるのである。