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五十二、仏法三世の因縁

日顕上人猊下御指南

南無妙法蓮華経を我々が唱えることができるのは、三世にわたる仏法上の因縁と経過があり、その最後に至って、本仏宗祖大聖人により本門の三大事が顕れたからである。
これについて、その因縁の要点を考えると、その一は、法華経の会座で釈尊が本懐とする久遠成道を顕すため、地涌の菩薩が出現された。

二は、この因縁により、釈尊が久遠の仏身を開顕された。
三は、一代仏教を束ね結要した久遠の根本法を、釈尊が地涌の菩薩に付嘱し、滅後の弘通を委嘱された。
四に、末法に大聖人が出現され、地涌千界、特に四大菩薩が出現することを『観心本尊抄』に明記された。この場合、四大菩薩とは、地涌の上首として上行・無辺行・浄行・安立行の四菩薩の出現のようであるが、また四大菩薩は上行菩薩一人に集約されることが本義である。
五に、地涌上行菩薩は、久遠元初自受用報身、すなわち根本仏よりの垂迹身であることが『百六箇抄』に説かれた。
六に『百六箇抄』その他の文書と諸難のお振る舞いにより、大聖人が上行菩薩の再誕として結要の大法を解説されるとともに、その法体を御本尊として顕され、その上から大聖人は、一往上行の再誕、再往久遠元初自受用身の再誕であることを示し給う。
七に、これらの深義において、大聖人は、末法出現の久遠元初自受用身の当体としての南無妙法蓮華経より聞かれた三大秘法の題目を弘通あそばされた。

以上によって、末法の我々がその施化を受け、本門の題目を唱えることができる。この題目を唱える末法の衆生は、そのまま地涌の菩薩の眷属であり、この深い因縁を知って題目を受持するところに、現当二世得益の意義が存するのである。

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