ホーム » 仏教説話 » 魔によって臨終を妨げられた法師

魔によって臨終を妨げられた法師

仏教説話

魔によって臨終を妨げられた法師
 鎌倉時代の昔は、一般に出家の妻帯は認められていなかったが、ある山寺の法師は女人を好きになり、相思相愛となり結婚して夫婦生活を営んでいた。

やがてこの法師は重病となり、なかなか快方に向かわず長い間、患っていた。それを妻は丁寧に看病してくれたので安心できた。そのため弟子などが見舞いにくることは希(まれ)であった。この分だと臨終を安心して迎えることができるであろうと思っていたが、既に長患いをしており、心配でもあった。

もとより法師には道心があり、しばしば仏を念じていたが、これで最後と思って端座合掌して静かに仏を念じていると、妻は「私を捨ててどこへ行くのですか、悲しいわ」と叫んで法師の首に抱きついて引き臥(ふ)せた。法師は「ああ悔しい、心安く臨終させてくれ」と言って起き上がると、またも引き倒すのであった。法師が声をあげて仏を念じると、また引き倒されて、そのまま死んでしまったのである。

このような臨終の在り方は、けっしてあるまじき様子に見えたし、これは悪魔の障礙(しょうげ)するところであろうか。

これは無住の『沙石集』に記されている。日寛上人は『臨終用心抄』に、臨終に心の乱れる理由に

一、断末魔の苦しみのために。

二、魔の所以。

三、妻子眷属の嘆きと財宝等への執着。

の三点を挙げて、臨終正念の妨げとなることを説かれている。ここでは二の、魔によって臨終正念を妨げられる例を紹介されたのである。

「爾前権門の行者さえ、こうであるのだから、当宗の行者はもっと強い魔障が現れるであろう、それは必ず成仏できる宗教だからである」と、日寛上人は仰せである。

(歴代法主全書八巻)

(高橋粛道)

RSS 宝日記

  • 迷える創価学会員へ 2024年12月20日
    法華講有志のYouTube動画に元創価学会幹部が脱会に至るまでの創価学会への疑問、苦悩などが述べられており、戸 […]
    kirimoto3

RSS 掲示板

  • 残暑見舞い 2024年9月8日
    残暑お見舞い申し上げます。 立秋は過ぎましたが暑い日が続きます。 お体をご自愛ください。

管理人

和歌山県田辺市の在住、日蓮正宗法華講員です。
宝相寺支部所属。宝相寺は日蓮正宗総本山大石寺の末寺です。人生の悩みなど正しい仏法で乗り越えていきましょう。
お問い合わせは、ホームページのメールフォームから
電話でも受け付けております。
携帯090-3656-1453

アクセスカウンター