三大秘法

教学用語

三大秘法とは、「本門の本尊」「本門の戒壇」「本門の題目」をいい、宗祖日蓮大聖人が説き顕された独自の教法であり、本宗宗旨の根本です。

三大秘法の名みょう目もく

 日蓮大聖人の御書の中で、本門の本尊と戒壇と題目という三大秘法の名前が、そろって初めて説き明かされたのは、佐渡さど配はい流る御ご赦免しゃめん以後のことです。

 すなわち、日蓮大聖人が身延に入山されて間もない文永十一(一二七四)年五月の『法華取要抄』に、

 「如来滅後二千余年に竜樹・天親てんじん・天台・伝教の残したまへる所の秘法何物なにものぞや。答へて曰いわく、本門の本尊と戒壇と題目の五字となり」(御書 736頁)

と説かれています。

 その所以ゆえんは、この三大秘法は日蓮大聖人が竜の口の発ほっ迹しゃく顕本けんぽん、また三類さんるいの強敵ごうてき扣発こうはつ・数々さくさく見擯出けんひんずい等の法華経身読を完結あそばされた後、末法の御本仏としての御境界において初めて顕された法門だからです。

 この三大秘法中「本門の本尊」とは、日蓮大聖人が御自ら御図顕あそばされた信仰の対象である本尊を指します。

 また「本門の戒壇」とは、本門の本尊を安置する場所をいいます。

 また「本門の題目」とは、本門の本尊を信じて唱える題目のことです。

 

 三大秘法は末法の三学

 

 三大秘法と三学の関係について『御義口伝』に、

 「此の本尊の依文えもんとは如来秘密神通じんづう之し力りきの文なり。戒かい定じょう慧えの三学、寿量品の事じの三大秘法是これなり」(同 1773頁)

と説かれているように、三大秘法と三学にはたいへん深いつながりがあります。

 まず三学とは、仏道を修行する者が必ず修学すべき基本的な修行であり、戒学・定学・慧学の三つをいいます。

 まず「戒」とは「戒律かいりつ」のことで、防ぼう非止ひし悪あくをいいます。つまり戒律をもって身体と口と心の非を防ぎ、悪を止め善を行うことです。

 次の「定」とは「禅ぜん定じょう」のことで、精神を統一し、雑念を払い、心の散乱を防ぐことです。

 次の「慧」とは「智慧ちえ」のことで、諸々もろもろの煩悩ぼんのう・業ごう・苦くの三道を明らかにし、三道に縛しばられた状態から解き放たれることをいいます。

 この三学は、それぞれ単独で用はたらくのではなく、互いに補い助け合うことによって煩悩を対治たいじし、仏道が成就されるのです。

 このことについて、中国の道宣どうせん律師は、

 「先ず戒をもって捉え、次に定をもって縛り、後に慧をもって殺す」

 と述べています。

  このように釈尊の仏法においては、戒律を持つことによって禅定を助け、禅定を得ることによって智慧を発し、智慧によって煩悩を断じて仏道を成就したのです。

 この三学について、日寛上人は、

 「凡およそ戒定慧は仏家ぶっけの軌則きそくなり、是の故に須臾しゅゆも相あい離るべからず」(六巻抄 85頁)

と仰せられています。あらゆる仏教の教えは、すべて三学を離れるものではありません。

 次に、日興上人は『上行所伝三大秘法口決くけつ』において、

 「戒とは本門の戒壇、定とは本門の本尊、慧とは本門の題目(趣意)」(御書 1703頁)

と明かされているように、末法における戒定慧の三学とは、三大秘法のことです。

 したがって、日蓮大聖人が建立された三大秘法こそ一代仏教の根幹であり成仏得道の要諦ようていなのです。

 『三大秘法稟承事ぼんじょうのこと(三大秘法抄)』には、

 「実相証得の当初そのかみ修行し給ふ処の寿量品の本尊と戒壇と題目の五字なり」(同 1593頁)

と仰せられています。すなわち、この三大秘法は「実相証得の当初」である久く遠元初おんがんじょにおいて、御本仏自らが行じられた根本究極の法体なのです。

 

 三大秘法開合かいごうの相

 

 三大秘法の開合の「開」の相について、日寛上人は『依義えぎ判文はんもん抄』の中で、

 「一大秘法とは即すなわち本門の本尊なり。此の本尊所住の処ところを名なづけて本門の戒壇と為なし、此の本尊を信じて妙法を唱うるを名づけて本門の題目と為すなり」(六巻抄 82頁)

と仰せです。すなわち一大秘法である本門の本尊に戒壇と題目が具わり、三大秘法と開かれるのです。

 さらにまた、

 「本尊に人にん有り法ほう有り、戒壇に義ぎ有り事じ有り、題目に信しん有り行ぎょう有り、故に開して六義と成る。此の六義散じて八万宝蔵と成る」(同)

と仰せられ、本尊に人と法があり、戒壇に義と事があり、題目に信と行があって六義となり、この六義がさらに釈尊の五千・七千の経巻をはじめ、一切の経教である八万四千の法門に開かれると教示されています。

 次に、開合の「合」の相については、

 「之これを合する則ときんば八万宝蔵は但ただ六義と成る。亦また此の六義を合すれば則すなわち但三大秘法と成り、亦三大秘法を合すれば則ち但一大秘法の本門の本尊と成るなり。故に本門戒壇の本尊を亦は三大秘法総在の本尊と名づくるなり」(同)

と仰せられています。つまり八万宝蔵は六義に、六義は三大秘法に、三大秘法は一大秘法の本門の本尊に帰結するのです。

 したがって、本宗僧俗は、三大秘法総在の本門戒壇の大御本尊を根本として、血脈付法の御法主日顕上人猊下の御指南のもと、五年後の「『立正安国論』正義顕揚七百五十年」の御命題達成に向け、より一層、宗旨の三大秘法弘通を実践することが大切です。