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4月度 広布唱題会の砌

(令和5年4月2日於総本山客殿)
日如上人猊下お言葉
 本年「折伏躍動の年」も既に四月に入り、皆様にはそれぞれ折伏誓願の達成へ向けて、日夜、御精進のことと思います。
 さて、今、世間の体を見ると、新型コロナウイルス感染症によって世界中が騒然とした様相を呈しておりますが、かくなる時こそ、私どもは『立正安国論』の御聖意を拝し、講中一結・異体同心して折伏を行じていかなければなりません。
『立正安国論』には、
「倩微管を傾け聊経文を抜きたるに、世皆正に背き人悉く悪に帰す。故に善神国を捨てゝ相去り、聖人所を辞して還らず。是を以て魔来たり鬼来たり、災起こり難起こる。いはずんばあるべからず。 恐れずんばあるべからず」(御書 二三四)
と仰せであります。
 すなわち、大聖人様は正嘉元(一二五七)年八月の大地震をはじめ、多くの天変地夭・飢饉・疫癘によって、国中の人々が塗炭の苦しみに喘いでいる惨状を見て、この天変地夭・飢饉・疫癘は、世の中の人々が皆、正法を捨てて悪法を信じていることにより、国土を守護すべき諸天善神が所を去って、悪鬼・魔神が住み着いているためであり、正法を信ぜず謗法を犯すことによって三災七難が起こると仰せられております。
 このように世の中の人々が苦しみ、国中が混迷を極めている根本原因こそ、法然の念仏であると断ぜられ、
「如かず彼の万祈を修せんよりは此の一凶を禁ぜんには」(同二四一ページ)
と、謗法の一凶を断って正法に帰依しなければ、災難を払い、仏国土を実現することはできないと仰せであります。そして、もし正法に帰依しなければ、七難の中、まだ起きていない自界叛逆難と他国侵逼難の二難が必ず競い起こると予言され、速やかに、「実乗の一善」(同 二五〇ページ)すなわち妙法蓮華経の正法に帰依するよう御教示されているのであります。
 この『立正安国論』の御聖意は永遠の指針であり、我々は片時も忘れてはならない御制誌であります。
 思うに、今日のコロナ禍による世界および日本の現状は、この『立正安国論』にお示しあそばされた当時の混乱に満ちた惨状と同じ様相を呈していると言っても、決して過言ではありません。
 されば、今こそ私どもは『立正安国論』の御聖意に任せ、すべての人々の幸せと仏国土実現を期して、邪義邪宗の謗法を破折し、妙法広布に挺身していかなければなりません。
 一人ひとりが「一心欲見仏 不自惜身命」の御文意を拝し、妙法広布に生きる時、我々は自分自身も、また自分を取り巻くすべての環境も変わっていくのであります。 不幸な境界も、悪環境も、苦悩も、必ず幸せに変わっていくのでありまして、まさしく妙法受持の功徳であります。 そして、この妙法受持の功徳によって個から全体へ、さらにその波動が国土世間へ及び、仏国土を築くことになるのであります。 まさしく、これは一念三千の原理によるところであります。
 皆様には、是非ともこのことを銘記され、特に今日、一人ひとりが『立正安国論』の御聖意を拝し、妙法広布のために戦いきっていただきたいと思います。
 もちろん、我々が立ち上がれば、三障四魔も紛然として競い起こることは必定であります。しかし、これらの難も強盛に題目を唱え、折伏の実践によって威力を減じ、消え去っていくことも必定であります。
 要は、御本尊様の広大無辺なる功徳を絶対の確信を持って信じきっていくことであり、この御本尊様への絶対の確信と弛まぬ折伏の実践こそが、今日の混沌とした世の中を変えていくことができる最善の方法であります。
『聖愚問答抄』には、
「此の妙法蓮華経を信仰し奉る一行に、功徳として来たらざる事なく、善根として動かざる事なし」(同
408ページ)
と仰せであります。
 皆様方にはこの御金言を胸に、いよいよ自行化他にわたる信心に励まれますよう心からお祈り申し上げ、本日の挨拶といたします。
(大白法令和5年4月15日号より転載)

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