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7月度広布唱題会の砌

日如上人猊下お言葉

 本日は、総本山の七月度の広布唱題会に当たりまして、皆様方には依然として猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症によって、種々、不便を来たしているところ、信心強盛に出席され、まことに御苦労さまでございます。
 本年も早、七月となりましたが、皆様方には日夜、自行化他の信心に住され、御精進のことと思います。
 さて、法華経不軽品を拝しますと、不軽薩について詳しく述べられています。御承知の通り、不軽菩薩は威音仏の滅後、像法時代に出現し、一切衆生に仏性があるとして、
「私は、敢えてあなた方を軽んじません。なぜなら、あなた方は必ず仏と成るべき方であるからであります」(法華経 五○○ページ取意)
と言って、会う人ごとに対して専ら礼拝を行じたのであります。
 また、遠く離れた人に対しても、同じよに言って礼拝したのであります。
 しかし、増上慢の者達は、不軽菩薩に対て瞋恚の心、つまり怒り恨む心を生じて、
「この無智の比丘は、一体どこからやってきたのか。自分で『私は、あなたを軽んじたりしない』 と言って、我らのことを『必ず仏となることができるだろう』予言しているが、我らはそのような偽りの予言などは用いない」(同取意)
と悪口したのであります。
 しかし、不軽菩薩は悪口罵詈されながも瞋恚の心を生ぜず、
「汝当に作仏すべし」(同五〇一ページ)
と言って、礼拝行をやめなかったのであます。
 そのために増上慢の四衆は、不軽菩薩対して、杖 木瓦石をもって打擲し、迫害を加えたのであります。しかし、それも不軽菩薩は、それを避けて遠くに行きなお声高に、
「私は敢えてあなた方を軽んじません。あなた方は必ず仏と成るからでありす」(同取意)
と言って、礼拝行を続けたのであります。
 ひたすら礼拝行を続けた不軽菩薩は、その功徳によって、命終わらんとする時にって、威音王仏の説かれた法華経を虚空のうちに聞いて、ことごとく受持して六根清淨を得終わって、さらに寿命を延ばすこと二百万億那由他歳、その間、広く人々のために法華経を説いたのであります。
 その結果、かつて不軽菩薩を軽蔑し、悪口罵詈し、杖木瓦石をもって迫害した増上慢の四衆、すなわち不軽菩薩を軽しめ 「不軽」と名付けた者達も、但行礼拝の功徳によって不軽菩薩が大神通力、楽説弁力、大善寂力を得たるを見るに及び、また、その説くところを聞いて、信状随従するに至ったのであります。
 大神通力とは、身に神通力を示現することであります。楽説弁力とは、自在無に弁舌する力です。大善寂力とは、心に禅定、心を静めて真理を観察し、心身共に動揺することがない、安定した状態を得ることであります。
『法華文句』には、この三力を身口意の三業、および衣座室の三軌に配して、
「不軽菩薩が、一切衆生に仏性ありとして人々を軽んぜず、深く敬ったのは、衣座室の三軌のうちには如来の座に当たり、身口意の三業に当てはめれば意業に当たる。悪口罵詈・杖木瓦石のを忍んだのは如来の衣を著るに当たり、また
『我深く汝等を敬う』等の二十四字を説いたのは口業に当たる。慈悲の心をもって、ことさらに礼拝行を続けたのは如来の室に当たり、また身業に当たる」(学林版文句会本下四五一ページ取意)
と仰せであります。
 すなわち不軽菩薩は、礼拝行を通して衣座室の三軌を身口意の三業にわたって行じた功徳によって、大神通力等の三力を得、また、これを目の当たりにした増上慢の四衆も、法華経に帰依することができたのであります。つまり、不軽菩薩を迫害した増上慢の者達も、さすがに不軽菩薩の大神通力、楽説弁力、大善寂力を見て、ついに信伏随従するに至らざるをえなかったのであります。
 このことは、私どもの信心、特に折伏において、まことに大事なことが説かれているのであります。
 折伏には説得力が必要であります。 説得力が乏しいと、相手はなかなか信じません。したがって、説得力を身に付けなければなりませんが、説得力と言っても、言葉がいくら巧みであっても、それだけでは相手は納得しません。
 大聖人は『法蓮抄』に、
「凡夫は此の経は信じがたし。又修行しても何かあるべき。是を以て之を思ふに現在に眼前の証拠あんずる人、此の経を説かん時は信ずる人もありやせん」(御書 八一四)
と仰せであります。すなわち、折伏に当たって最も説得力があるのは、信心の功徳を現証として示すことだとおっしゃっているのです。
 今、私どもの折伏も、不軽菩薩の大神力、楽説弁力、大善寂力を目の当たりにて、増上慢の四衆が等しく、その説くとろを聞いて信伏随従するに至ったように、確たる信心の現証を示すことが肝要であ
ります。
 そのためには、まず自らが戒壇の大御本尊様に対する絶対信をもって、信心に励むことであります。真剣に自行化他の信心に励むところ、おのずと妙法の広大無辺なる功徳によって不軽菩薩同様に、大神通力、楽説弁力、大善寂力を得ることができるのであります。
 故に、大聖人様は『御義口伝』に、
「所詮今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉る行者は末法の不軽菩薩なり」(同一七七八)
と仰せられているのであります。
 すなわち、我らが不軽菩薩と同様に、大神通力、楽悦弁力、大善寂力を得ることができれば、おのずと私達の身口意の三業にわたる所行のすべてが折伏に役立つ、強烈な説得力を持つことになるのであります。
 例えば、折伏の言葉一つ取っても、自然と楽説弁力等の功徳が発揮され、相手の信頼を得ることができるのであります。
 折伏は、我々の言っていることを相手が信じてくれなければ何もなりません。相手の信頼に足る言葉、態度、意がなければ、折伏は成就しません。
 しかし、大御本尊への絶対信をもって強盛な信心に励む時、妙法の広大無辺なる功徳によって、まず自らが変わり、相手が変わり、折伏達成に至るのであります。
 今、宗門は僧俗挙げて、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の慶事を迎え、一天広布へ向けて僧俗一致の体勢を構築して、カ強く前進をしております。
かかる時に当たり、私ども一同、一人も漏れず、
「一文一句なりともかたらせ給ふべし」(同六六八)
との御金言を胸に折伏に起ち上がり、すべての支部が本年度の折伏誓願を必ず達成し、もって広大なる仏恩に報い奉り、一生成仏を果たされますよう心からお祈し、本日の挨拶といたします。


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和歌山県田辺市の在住、日蓮正宗法華講員です。
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