≪法事について≫
法事は、故人の命日、あるいは忌日・一回忌などに追善供養のため営む法要のことで、追善回向ともいいます。追善とは追って善を積むこと。回向とは生きている私たちが仏道修行によって積んだ功徳善根を、亡き肉親・知人などのために廻りめぐらすこと。したがって、法事を通して追善回向することにより、故人の苦を抜き楽を与え、仏道増進の助けとなり、成仏の支えとなるのです。
日蓮大聖人は、「存生の父母にだに尚功徳を回向するを上品とす。況んや亡親においてをや」と仰せられ、遺族・親族が、いつも亡くなった人のことを忘れず、御本尊のもと功徳善根を積んで回向することは、最上の孝養となるのです。また亡くなった人も、遺族の追善供養を唯一の頼みとしています。「頼む方は娑婆の追善ばかり也。相構へて追善を営み、亡者の重苦を助くべし」とあり、遺族として真心から追善供養を営むことが故人の成仏の手助けとなるのです。
≪追善供養は正法による≫
もちろん、この追善供養は正法によって行うことが肝心です。いくら志が厚くても、誤った宗教によって行なったのでは、かえって故人を苦しめることになります。末法の正境である御本尊を中心に営むことによってのみ、初めて正しい追善供養可能となるのです。私たちが御本尊に向かって、読経唱題することにより。御本尊の仏力・法力と私たちの信力・行力の四力が成就し、そこに生じた功徳を故人に回向してこそ、真の追善供養となるのです。
≪塔婆を建立する≫
法事のときは、塔婆を建立して、追善供養を行います。塔婆は五輪の形をしており、妙法蓮華経のお題目を書き、「此中已有如来全身」と経文を書くのは、この塔婆は、もう仏様のお体であり、この仏洋のお心のなかに亡くなった人が一緒におられる姿を示すのです。
塔婆を建てて追善回向された故人はもちろん、塔婆供養を志した人もまた、大きな功徳をうけることができます。
大聖人は、塔婆供養の大切さについて
「丈六のそとばをたてて、其の面に南無妙法蓮華経の七宇を顕はしてをはしませば(中略)過去の父母も彼の塔婆の功徳によりて、天の日月の如く浄土をてらし、孝養の人並びに妻子は現世には寿を百二十年持ち](1434)
と仰せられています。
塔婆供養の功徳の要点を挙げれば、
①塔婆供養をすると寿命を延ばせる。
②大きな福運を積める。
③未来のできごとを予知できる。
④事前の悩みや苦しみが除ける。
⑤常に仏の慈悲をうけられる。等々
仏法上、特に大聖人の教えから見ると、塔婆建立の意義は誠に深いものがあります。塔婆を建立する願い出は、代表の方のみするのではなく、法事に参列される多くの親族の方が建立されることが望ましいことです。