信心のしおり
皆さん、こんにちは。
先月は御本尊様へのお給仕のお話をしました。覚えていますか?
お給仕の一つひとつも大切な個道修行なので、家族みんなで役割分担をしたり、当番を決めたりして、積極的にお手伝いをしましょう、ということでしたね。
さて、「御授戒について教えてください」というリクエストがありましたので、今月はそのことを、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。
授戒とは何だろう。
古来、仏法に帰依(入信)する人は、必ず戒を受け、その戒を持つことを誓います。これを授ける立場からは授戒、受ける立場からは受戒といます。戒を持つことで、の教えを守り、信仰者として正しい振る舞いができるようになるのです。
拠り所とする経典によって戒律の内容は様々ですけれども、仏法にとって、戒律はとても大切です。
日本では奈良時代に、中国(唐)の鑑真和尚が東大寺に小乗の戒壇を建立し、天皇・皇后をはじめ、国の諸役人に行われたことが授戒の最初です。
その後、伝教大師最澄が国に、より勝れた大乗戒壇の建立を願い出ました。伝教大師が亡くなられた後に国から許されて比叡山延暦寺に大乗戒壇が建立されました。
これらは共にまだ像法という時代のことで、受けるのも爾前迹門の戒でした。
今は末法という時代ですから、お釈迦様の教えが衰えてしまい、爾前迹門の戒では人々は幸せになれません。
では、末法の時代に私たちが受ける戒は何かというと、「金剛宝器戒」という根本の戒です。
日蓮正宗の御授戒について
「御授戒について知りたいから教えて」と、質問を寄せてくれたお友達は、クラスのお友達とそのご両親を、お母さんと一緒に折伏できたのだそうです。
そのご家族がお寺で御授戒を受けた時、とても嬉しかったのと、自分は赤ちゃんの時に受けたので、きちんと知りたいと思った、とのことです。
日蓮正宗の御授戒は、「これからは、仏様の教えに基づいて自分の振る舞いを正して生きていきます」ということを御本尊様にお誓いする、大切な儀式です。
その内容は、これからは、一切の謗法を捨てて、日蓮大聖人様の教えを信じ、修行していきますという誓いです。仏様に、私たちがお約束するということですね。
御授戒の儀式は、所属寺院の御宝前で読経・唱題して、御本尊様を捧持された導師の御僧侶から、授戒文を受け、頭に御本尊様をいただきます。
御授戒でお誓いする内容はどんなこと?
授戒文を左に用意しました。
ここからは、それを見ながら、お話を聞いてくださいね。
では、まず、難しい言葉を詳しく見ていきましょうか。
「法華本門」とは、大聖人様の南無妙法蓮華経です。
「邪法邪師の邪義を捨てる」「爾前迹門の謗法を捨てる」とは、間違った教えを信じない、ということです。
今まで信仰していた宗教や先祖代々から信仰してきた宗 教など、日蓮正宗以外の間違った教えや考えを捨てることをお誓いします。
「不妄語戒」の妄語とは、嘘をつくという意味で、不安語は、嘘をつきませんという意味になります。
不妄語戒を持つというと、嘘をつきませんという、仏様とのお約束を守ることをいいます。
授戒文の三つの問いかけに対し、入信者は、「持ち奉るべし」と、声に出して御本尊様にお誓いします。
御授戒は単なる儀式ではありません。私たちが、生涯にわたって日蓮正宗の信心を全うすることをお誓いする、大切な場なのです。その一番大切な、根幹は、「謗法厳誠」です。
なぜなのかは、皆さん判りますね。そうです。謗法が不幸の源だからです。
金剛宝器戒の功徳
私たちが日蓮正 宗の御授戒で授かる戒を、さっき金剛宝器戒だとお話しました。
金剛は、ダイヤモンドのことです。器は、ものを入れたりする、うつわです。硬い硬いダイヤモンドを磨いて作
られた、永久に壊れることのない宝の器に譬えられています。
大聖人様は、「金剛宝器戒」について、『教 行 証御書』に、
「この法華経の本門の肝心である妙法蓮華経は、三世の諸仏のすべての修行と善い行いの功徳を集めたものである。この五字のうちにあらゆる戒の功徳が納められている。この戒は一度持ったら修行者が破ろうとしても破ることはできない。これを金剛宝器戒というのである(趣意)」(御書 一〇九ページ)
と仰せです。
御本尊様にはあらゆる功徳、そして戒律が納められています。だから、御本尊様を信じ、大聖人様の教えのままに修行することが、そのまま戒を持つことになるのです。
そして一度、御授戒を受けたら、その無限の功徳によって金剛宝器戒は破られることはありません。将来どんなことがあっても、戒の功徳によって御本尊様に再び巡り合え、いずれは成仏を遂げることができるのです。
総本山第六十七世日顕上人は、
「この戒を受け、この金剛宝器戒によって大聖人の仏法を根本として信心修行に励むところに、本当の善悪のけじめがその根本から正されてきて、あらゆる罪障を消滅し、即身成仏しゆく道がある」(大日蓮460号)
と御指南されています。
ところで、皆さんは御授戒をいただいた時のことを覚えていますか?
先ほどのお友達のように、「赤ちゃんの時だから覚えていないよ」というお友達も多いかも知れません。
ご両親は皆さんの幸せを祈って御授戒を願われたと思います。
新たに入信する方が御授戒を受ける場面に参加する機会があったら、今度は皆さんが、その方の幸せを願い、信心の出発をお祝いしましょう。
もっとたくさんの方が、この御本尊様に巡り合って幸せになれるといいですね。一緒に、大聖人様の教えを弘めて、御本尊様のもとへ導いてまいりしょうね。
