五、真実を開く
吾人の心は、常に善や悪についてあれこれと迷い、悪を捨てて善に向かわなければならないと思っているが、現実の相において愚かな心は、善に背き悪を行じている。また、小さな善に執われて、より大きな善に背いている。これは、小さな道徳観に縛られているからで、善と悪を相対して考える差別の心である。さらに、真実を開けば、その善悪の心の全体が妙法蓮華なのである。故に、妙法を唱えるとき、あらゆる善悪の心に今まで感じたことのない徳が生じ、信心をもって唱え続けていくことで、小さな悪や中間の悪、また大きい悪、さらに小さい善や中間の善を超えた大善により、それらを照らし活かす心境となり、一生のうちに仏と成ることができるのである。