日如上人猊下御指南
人は、とかく理屈ではわかっていても、わずかな欲望や魔縁にたぶらかされて、刹那的な快楽や名聞名利を追い求め、大事な時間を無駄にして、挙げ句の果てに、一生をむなしく過ごしてしまうことが多々あります。
こうした惰弱なる命を強靭な命に改変していくことができる唯一の道こそ、大聖人の仏法であります。正しい御本尊のもとに、確信をもって妙法五字を信仰していけば、広大無辺なる御本尊の大功徳によって、
「不断煩悩。不離五欲」(法華経六一〇ページ)
と仰せの如く、煩悩を断つこともなく、五欲を離れることもなくヽ同じ欲望であっても、邪まな欲望から正しい欲望に変革していくことができるのであります。
あくせくと、泡沫の如きはかない快楽と名門名利を求めていた欲望が一天広布へ向けて、自らの幸せと多くの人達の幸せを求める欲望に変わっていくのであります。
この心の変化は、正しい御本尊への絶対の確信と身口意の三業にわたる強盛な信心によって初めて顕れてくるのであります。
(平成18年12月号48ページ)