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生死一大事血脈抄 

御書3

 生死一大事血脈抄   文永九年二月十一日  五一歳

                     日蓮之を記す
 御状委細被見せしめ候ひ畢んぬ。
夫 生死一大事血脈とは所謂妙法蓮華経是なり。
其の故は釈迦多宝の二仏、宝塔の中にして上行菩薩に譲り給ひて、此の妙法蓮華経の五字過去遠々劫より已来寸時も離れざる血脈なり。

妙は死、法は生なり、此の生死の二法が十界の当体なり、又此を当体蓮華とも云ふなり。
天台云はく「当に知るべし依正の因果は悉く是蓮華の法なり」云云。
此の釈に依正と云ふは生死なり、生死之有れば因果又蓮華の法なる事明らけし。伝教大師云はく「生死の二法は一心の妙用、有無の二道は本覚の真徳」文。
天地・陰陽・月日・五星・地獄乃至仏果、生死の二法に非ずと云ふことなし。是くの如く生死も唯妙法蓮華経の生死なり。
天台の止観に云はく「起は是法性の起、滅は是法性の滅」云云。釈迦多宝の二仏も生死の二法なり。然れば久遠実成の釈尊と、皆成仏道の法華経と、我等衆生との三つ全く差別無しと解りて、妙法蓮華経と唱へ奉る処を生死一大事の血脈とは云ふなり。此の事但日蓮が弟子檀那等の肝要なり。法華経を持つとは是なり。所詮臨終只今にありと解りて、信心を致して南無妙法蓮華経と唱ふる人を「是人命終為千仏授手、令不恐怖不堕悪趣」と説かれて候。悦ばしいかな一仏二仏に非ず、百仏二百仏に非ず、千仏まで来迎し手を取り給はん事、歓喜の感涙押へ難し。法華不信の者は「其人命終入阿鼻獄」と説かれたれば、定めて獄卒迎えに来たって手をや取り候はんずらん。浅猿浅猿、十王は裁断し倶生神は呵責せんか。

 今日蓮が弟子檀那等南無妙法蓮華経と唱へん程の者は、千仏の手を授け給はん事、誓へば・夕顔の手を出だすが如くと思し食せ。過去に法華経の結縁強盛なる故に現在に此の経を受持す、未来に仏果を成就せん事疑ひ有るべからず。過去の生死・現在の生死・未来の生死、三世の生死に法華経を離れ切れざるを法華の血脈相承とは云ふなり。謗法不信の者は「即断一切世間仏種」とて、仏に成るべき種子を断絶するが故に、生死一大事の血脈之無きなり。

 総じて日蓮が弟子檀那等自他彼此の心なく、水魚の思ひを成して異体同心にして南無妙法蓮華経と唱へ奉る処を、生死一大事の血脈とは云ふなり、然も今日蓮が弘通する処の所詮是なり。若し然らば広宣流布の大願も叶ふべき者か。剰へ日蓮が弟子の中に異体異心の者之有れば、例せば城者として城を破るが如し。日本国の一切衆生に法華経を信ぜしめて仏に成る血脈を継がしめんとするに、還って日蓮を種々の難に合はせ、結句此の島まで流罪す。而るに貴辺日蓮に随順し又難に値ひ給ふ事、心中思ひ遣られて痛ましく候ぞ。金は大火にも焼けず大水にも漂はず朽ちず、鉄は水火共に堪へず。賢人は金の如く愚人は鉄の如し、貴辺豈真金に非ずや。法華経の金を持つ故か。経に云はく「衆山の中に須弥山これ第一、此の法華経も亦復是くの如し」と。又云はく「火も焼くこと能はず水も漂はすこと能はず」云云。過去の宿縁追ひ来たって今度日蓮が弟子と成り給ふか。釈迦多宝こそ御存知候らめ。「在々諸仏土常与師倶生」よも虚事候はじ。

 殊に生死一大事の血脈相承の御尋ね先代未聞の事なり貴し貴し。此の文に委悉なり、能く能く心得させ給へ。只南無妙法蓮華経釈迦多宝上行菩薩血脈相承と修行し給へ。火は焼き照らすを以て行と為し、水は垢穢を浄むるを以て行と為し、風は塵埃を払ふを以て行と為し、又人畜草木の為に魂となるを以て行と為し、大地は草木を生ずるを以て行と為し、天は潤すを以て行と為す。妙法蓮華経の五字も又是くの如し、本化地涌の利益是なり。上行菩薩末法今の時此の法門を弘めんが為に御出現之有るべき由、経文には見え候へども如何が候やらん、上行菩薩出現すとやせん、出現せずとやせん。日蓮先づ粗弘め候なり。相構へ相構へて強盛の大信力を致して、南無妙法蓮華経臨終正念と祈念し給へ。生死一大事の血脈此より外に全く求むることなかれ。煩悩即菩提・生死即涅槃とは是なり。信心の血脈なくんば法華経を持つとも無益なり。委細の旨又々申す可く候。恐々謹言。

 文永九年壬申二月十一日         桑門 日蓮花押
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