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行敏訴状御会通 (良観念阿等訴状御返札)

御書4

 行敏訴状御会通 (良観念阿等訴状御返札)
文永八年七月  五〇歳

 当世日本第一の持戒の僧良観聖人並びに法然上人の孫弟子念阿弥陀仏・道阿弥陀仏等諸聖人等の日蓮を訴訟する状に云はく「早く日蓮を召し決せられて邪見を摧破し、正義を興隆せんと欲する事」云云。日蓮云はく「邪見を摧破し正義を興隆せば、一眼の亀の浮木の穴に入るならん」幸甚幸甚。

 彼の状に云はく「右八万四千の教乃至一を是として諸を非とする理豈然るべけんや」云云。道綽禅師云はく「当今末法は是五濁悪世なり、唯浄土の一門のみ有って路に通入すべし」云云。善導和尚云はく「千中無一」云云。法然上人云はく「捨閉閣抛」云云。念阿上人等の云はく「一を是とし諸を非とするは謗法なり」云云。本師三人の聖人の御義に相違す、豈逆路伽耶陀の者に非ずや。将又忍性良観聖人、彼等の立義に与力して此れを正義と存せらるゝか。
 又云はく「而るに日蓮偏に法華一部に執して諸余の大乗を誹謗す」云云。無量義経に云はく「四十余年未顕真実」と。法華経に云はく「要当説真実」と。又云はく宣示顕説」と。多宝仏証明を加へて云はく「皆是真実」と。十方の諸仏は「舌相至梵天」と云う云云。已今当の三説を非毀して法華経一部を讃歎するは釈尊の金言なり、諸仏の傍例なり、敢へて日蓮が自義に非ず。其の上此の難は去ぬる延暦・大同・弘仁の比、南都の徳一大師が伝教大師を難破せし言なり。其の難已に破れて法華宗を建立し畢んぬ。
又云はく「所謂法華前説の諸経は皆是妄語なり」云云。此又日蓮が私の言に非ず。無量義経に云はく「未だ真実を顕はさず」 未顕真実とは妄語の異名なり。

 法華経第二に云はく「寧ろ虚妄有りや不なり」云云。第六に云はく「此の良医虚妄の罪を説くや不や」云云。涅槃経に云はく「如来虚妄の言無しと雖も若し衆生虚妄の説に因ると知れば」云云。天台云はく「則ち為れ如来綺語の語」云云。四十余年の経々を妄語と称すること又日蓮が私の言に非ず。又云はく「念仏は無間の業」云云。法華経第一に云はく「我則ち慳貪に堕せん此の事為めて不可なり」云云。第二に云はく「其の人命終して阿鼻獄に入らん」云云。大覚世尊但観経・念仏等の四十余年の経々を説きて法華経を演説したまはざれば三悪道を脱れ難し云云。何に況んや末代の凡夫一生の間但自らも念仏の一行に留まり、他人をも進めずんば豈無間に堕せざらんや。例せば民と子との王と親とに随はざるが如し。何に况んや道綽・善導・法然上人等念仏等を修行する輩、法華経の名字を挙げて念仏に対当して勝劣難易等を論じ「未有一人得者」「十即十生百即百生」「千中無一」等と謂ふは、無間の大火を招かざらんや。

 又云はく「禅宗は天魔波旬の説」云云。此又日蓮が私の言に非ず。彼の宗の人々の云はく「教外別伝」云云。仏の遺言に云はく「我が経の外に正法ありといはば天魔の説なり」云云。教外別伝の言豈此の科を脱れんや。

 又云はく「大小の戒律は世間誑惑の法」云云。日蓮が云はく「小乗戒は仏世すら猶之を破す。其の上月氏国に三寺有り。所謂一向小乗の寺と一向大乗の寺と大小兼行の寺となり」云云。一向小と一向大とは水火の如し。将又通路をも分隔せり。日本国に去ぬる聖武皇帝と孝謙天皇との御宇に小乗の戒壇を三所に建立せり。其の後桓武の御宇に伝教大師之を責め破りたまひぬ。其の詮は「小乗戒は末代の機に当たらず」云云。護命・景深の本師等其の諍論に負くるのみに非ず、六宗の碩徳各退状を捧げ「伝教大師に帰依し、円頓の戒体を伝受す」云云。其の状今に朽ちず、汝自ら開き見よ。而して良観上人
当世日本国の小乗は昔の科を存せずといふ。

 又云はく「年来の本尊・弥陀・観音等の像を火に入れ水に流す」等云云。此の事慥かなる証人を指し出だして申すべし。若し証拠無くんば良観上人等自ら本尊を取り出だして火に入れ水に流し、科を日蓮に負はせんと欲するか。委細は之を糾明せん時其の隠れ無からんか。但し御尋ね無き間は、其の重罪は良観上人等に譲り渡す。二百五十戒を破失せる因縁此の大妄語に如かず。無間大城の人他処に求むること勿れ。

 又云はく「凶徒を室中に集む」云云。法華経に云はく「或は阿練若に有り」等云云。妙楽云はく、東春に云はく、輔正記に云はく。此等の経釈等を以て当世日本国に引き向かふるに汝等が挙げる所の建長寺・寿福寺・極楽寺・多宝寺・大仏殿・長楽寺・浄光明寺等の寺々は妙楽大師の指す所の第三、最も甚しき悪所なり。東春に云はく「即ち是出家の処に一切の悪人を摂す」云云。又云はく「両行は公処に向かふ」等云云。又云はく「兵杖」等云云。涅槃経に云はく、天台の云はく、章安の云はく、妙楽の云はく、法華経守護の為の弓箭兵杖は仏法の定むる法なり。例せば国王守護の為に刀杖を集むるが如し。

 但し良観上人等弘通ずる所の法、日蓮が難脱れ難きの間既に露顕せしむべきか。故に彼の邪義を隠さんが為に諸国の守護・地頭・雑人等を相語らひて言はく、日蓮並びに弟子等は阿弥陀仏を火に入れ水に流す、汝等が大怨敵なりと云云。頚を切れ、所領を追い出せ等と勧進するが故に日蓮の身に疵を被り、弟子等を殺害に及ぶこと数百人なり。此れ偏に良観・念阿・道阿等の上人の大妄語より出でたり。心有らん人々は驚くべし怖るべし云云。毘瑠璃王は七万七千の諸の得道の人を殺す。月氏国の大族王は率都婆を滅毀し僧伽藍を廃すること凡そ一千六百余処、乃至大地震動して無間地獄に堕ちにき。毘盧釈迦王は釈種九千九百九十万人を生け取り、並べ従へて殺戮す。積む屍莽の如く、流るゝ血池を成す。弗沙弥多羅王は四兵を興して五天を回らし、僧侶を殺し寺塔を焼く。説賞迦王は仏法を毀壊す。訖利多王は僧徒を斥逐し仏法を毀壊す。欽明・敏達・用明の三王の詔に日く「炳然として宜しく仏法を断ずべし」云云。「二臣自ら寺に詣で、堂塔を斫倒し仏像を毀破し、火を縦って之を焼き、所焼の仏像を取って難波の堀江に棄て、三尼を喚び出だして其の法服を奪ひ並びに笞を加ふ」云云。大唐の武宗は四千六百余処を滅失して僧尼還俗する者計ふるに二十六万五百人なり。去ぬる永保年中には山僧園城寺を焼き払ふ」云云。「御願は十五所、堂院は九十所、塔婆は四基、鐘楼は六宇、経蔵は二十所、神社は十三所、僧坊は八百余宇、舎宅は三千余等」云云。去ぬる治承四年十二月二十二日太政入道浄海、東大・興福の両寺を焼失して僧尼等を殺す。此等は仏記に云はく「此等の悪人は仏法の怨敵には非ず、三明六通の羅漢の如き僧侶等が我が正法を滅失せん」と。所謂守護経に云はく。涅槃経に云はく。              日蓮花押

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