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スピリチュアル 俗信・迷信

諸宗教破折2
4/19/2018

「運命の恋も、彼の気持ちもオーラから見えてくる」などのキャッチコピーに惹(ひ)かれ、特に若い女性の間で「スピリチュアル」にはまる人が増えている。
近年よく聞くスピリチュアル、どういう意味かと広辞苑で調べると、「精神的。霊的。宗教的」とある。
カタカナであるから、英語由来だろうとさらに調べると、キリスト教用語で、霊的であること、霊魂に関する様という意味もあり、例えばアメリカの奴隷制の中から発生したキリスト教の宗教言語を「スピリチュアル」と呼ぶこともあるらしい。
そのアメリカでスピリチュアルの現状を見ると、ビジネスや自身の生活のために、精神を讃(たた)えたり能力を引き出そうと、瞑想(めいそう)などを取り入れている有名企業もある。

手軽な拠(よ)り所
日本でも、明治以降に科学的思考のもとに存在を否定されてきた「目に見えないもの」、いわゆる人間に内在する力や魂を要求し、日常生活をより豊かにしようという動きが盛んになっているらしい。
もちろん、目に見えない自我の奥底に目を向けるところまでは結構だが、最近の巷(ちまた)のスピリチュアルに含まれることは、どうも褒(ほ)められたものとは言えない。
パワーストーン(願いを叶えてくれるとされる石)、オーラソーマ(色によるカウンセリングのためのカラーボトル)、フラワーレメディ(植物を原料とした液体)などのヒーリング用品が数多く売られ、自称霊能者による占い。自称スピリチュアルカウンセラーなどにより、エネルギーを配置すると謳(うた)う”遠隔セラピー”なるインターネットサイトまで存在する。
こうしたものにはまる人が期待することは、次の三つに分類されるという説がある(『スピリチュアル市場の研究』)有本裕美子著)。
一には、努力をせずに今までの人生をリセットし、本来のすばらしい自分になりたいという変身願望。
二には、透視能力を備えた専門家の肯定的な言葉や雰囲気などによってもたらされる安心感とリラックス、神秘体験。
三には、非日常の中で体験する特別な自分との遭遇により、人生や自分の存在の意味づけや優越感。
このように最近は、心身の鍛錬などの自己啓発よりも、開運や心身不調の改善など身近なご利益、果ては自分探しまでを、手軽に求めたい人がターゲットになっている。

効果と危険性
つまり、スピリチュアルを利用したビジネスが横行しているのだ。不安が多い世の中で、少しだけ気持ちを煽(あお)られ、そこに安易な癒(いや)しを差し出されることで、人は判断能力を歪(ゆが)められ、喜んで搾取(さくしゅ)され続けてしまうという構図である。
薬にも、”プラセボ効果(偽薬効果)”があるように、本人が癒されれば効果ありと考えてよい、ということだろうか。この癒しを隠れ蓑(みの)とした、邪(よこしま)な宗教に勧誘される危険性もないとは言い切れない。

「うまい話にはウラがある」

わけで、所詮は、ひと昔前に世間を騒(さわ)がせた霊感商法と同類、巧妙に装いを変えた新手の悪徳商法と見破るべきだ。

真実の幸せを求めよ
とかく精神世界に訴えるものは、人間すべてに内在している秘めた力の存在や、可能性の追求を主眼とする。ところが、私たちの心の内は煩悩に覆(おお)われており、凡夫の力だけで可能性を見出すことは不可能である。
そこで、日蓮大聖人は、

「但し法門をもて邪正をたゞすべし。利根と通力とにはよるべからず」(御書 一三三㌻)

と仰せられ、霊能やスピリチュアルなんかに人間の生命を浄化する力は全くないどころか、かえって正しい仏法を見失わせ、成仏への障害となるため、これらに頼ることを厳しく誡(いまし)められている。

「日蓮仏法をこゝろみるに、道理と証文とにはすぎず。又道理証文よりも現証にはすぎず」(同 八七四㌻)

と御教示のように、真実の幸福をつかむには、正しい救済の道理と、明確な仏の文証と、実際の功徳の現証に裏づけられた、正しい仏教に帰依すべきなのだ。

(大白法 第九七九号 平成三十年四月十六日)

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