教学ノート
大白法 平成30年9月16日付
大白牛車とは、法華経『譬喩品第三』の「三車火宅の譬え」に説かれる宝車のことを言います。毛並みの美しい、立派な体を持つ白牛が牽くことから、大白牛車と称されます。
「三車火宅の譬え」には、大白牛車の他に、羊の車、鹿の車、牛の車が出てきます。
御法主日如上人猊下は、
「羊の車、鹿の車、牛の車を、それぞれ法華経以前に説かれた爾前権経の教えに譬え、大白牛車をすべての人を救うことができる唯一最高の教えである法華経、すなわち妙法蓮華経に譬えている」(大白法 987号)
と御指南されました。
この羊・鹿・牛の車は、それぞれ声聞乗(羊車)・縁覚乗(鹿車)・菩薩乗(牛車)に配当され、三つをまとめて「三乗」と言います。「乗」とは、悟りに至る教えを乗り物こ例えたものです。三乗の教えは、人々の仏法に対する根本的な資質(これを機根と言います)に合わせて、仏様が一時的に方便を説かれた不完全な教えでした。
後に仏様は、本当に一切の人々を救えるのはこれら不完全な教えではないことを明らかにされ、どのような人々でも等しく成仏することができる教え、法華経を説かれました。
この法華経を、羊・鹿・牛の三車に対して「大白牛車」と示されたのです。また、三乗に対して「一乗・一仏乗」とも言います。
大白牛車について御法主上人猊下は、
「譬喩品では、羊車・鹿車・牛車の三車を与えると称して子供達を助け出して、実際には全員に大白牛車、すなわち法華経を与えています。しかし末法今時に約して言えば、文上の法華経ではなくして、寿量品文底秘沈の妙法蓮華経をもって一切衆生を救済することになるわけであります」(大日蓮 776号)
と御指南されています。
末法に生きる私たちすべてに与えられた「大白牛車」とは、文底下種の妙法蓮華経であり、本門戒壇の大御本尊様なのです。
私たちは本門戒壇の大御本尊様に巡り値うことができました。しかし、せっかく大白牛車を与えられても、乗らなければ目的地へたどり着けないように、この信仰をただ知っているだけでは、幸せになることも成仏も叶いません。
日蓮大聖人様は『御義口伝』に、
「今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉る時、大白牛車に乗じて直至道場するなり」(御書1733㌻)
と仰せです。
大御本尊様を信じて御題目を唱える、御本尊様を知らない人には信心を教えて御題目を唱えさせることこそ、本当の幸せ(道場=悟り)にたどり着く、唯一最高の方法です。