7月度広布唱題会の砌

日如上人猊下お言葉

総本山における今月の広布唱題会は、新型コロナウイルス感染症対策の規制によって、5月、6月に続き、山内僧侶のみの参加となりましたが、私どもはこのような時にこそ、いよいよ信心強盛に異体同心・一致団結して、この難局を乗り越えていかなければならないと思います。

さて、既に皆様も御承知の通り、七月は大聖人様が、時の最高権力者・北条時頼へ『立正安国論』を提出された月であります。
すなわち、大聖人は文応元(一二六〇)年七月十六日、近年打ち続く天変地天、飢饉疫れい、遍く天下に満ち、混沌とした末法濁悪の世相を深く憂えられ、国土衰退の根本原因は経論に照らして、邪義邪宗の謗法の害毒にあると断ぜられ、もし邪義邪宗への帰依をやめなければ、自界叛逆・他国侵逼の二難をはじめ、様々な難が必ず競い起こると予言され、こうした災難を防ぐためには、
「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ。然れば則ち三界は皆仏国なり、仏国其れ衰へんや。十方は悉く宝土なり、宝土何ぞ壊れんや。国に衰微無く土に破壊無くんば、身は是安全にして心は是禅定ならん。此の詞此の言信ずべく崇むべし」(御書250ページ)
と仰せられて、仏国土を実現するためには一刻も早く謗法の念慮を断ち、「実乗の一善」に帰することであると誡られたのであります。
「実乗の一番」とは、文上の法華経ではなく、法華本門寿量品受底秘沈の妙法蓮華経のことであり、三大秘法の随一、大御本尊のことであります。 すなわち、この大御本尊に帰依することが、国を安んずる最善の方途であると仰せられているのでありす。
総本山第二十六世日寛上人は『立正安国論』の「立正」の両字について、「立正の両字は三箇の秘法を含むなり」(御書文段六ページ)
と仰せであります。
 すなわち「立正」とは、末法万年の闇を照らし、弘通するところの本門の本尊と戒壇と題目の三大秘法を立つることであり、国土安穏のためには、この三大秘法を立つることこそ肝要であると仰せられているのであります。
また「安国」の両字については、
「文は唯日本及び現在に在り、意は閻浮及び未来に通ずべし」(同五ページ)と仰せられています。つまり「国」とは、一往は日本国を指しますが、再往は全世界、一閻浮提を指しているのでありす。
さらに『立正安国論』は、その対告衆は北条時頼であり、予言の大要は自界叛逆難・他国侵逼難の二難でありますが、実には一切衆生に与えられた諫言書であります。
 また、一往は専ら法然の謗法を破折しておりますが、再往元意の辺は広く諸宗の謗法を破折しているのであります。
 したがって『立正安国論』は、一往付文の辺では、当時の政者に対する諫言書でありますが、再往元意の辺から拝せば、末法の一切衆生に対し、自行の信心のみならず、化他行の折伏を行じ、立正安国の実現を図るべきことを諫言・指南された書であると言えるのであります。
 されば私どもは、この御聖意を拝する時、いよいよ明年に迫った宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築の実現へ向けて、すべての支部が講中一結、総力を結集して、いかなる障害・困難が競い起きようとも、一意専心、一天広布を目指し、折伏を行じていかなければならないと思います。
 大聖人は『寺沙法華問答抄』に、「願はくは『現世安穏後生善処』の妙法を持つのみこそ、只今生の名聞後世の差引なるべけれ。須く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ、他をも勧めんのみこそ、今生人界の思出なるべき」(御書300ページ)
と仰せであります。
 また『南条兵衛七郎殿御書』には、
「いかなる大善をつくり、法華経を千万部書写し、一念三千の観道を得たる人なりとも、法華経のかたきをだにもせめざれば得道ありがたし」
(同322ページ)と仰せられ、『種々御振舞御書』には、
「仏滅後二千二百二十余年が間、迦葉・阿難等、馬鳴・竜樹等、南岳 天台等、妙楽・伝教等だにもいまだひろめ給はぬ法華経の肝心、諸仏の眼目たる妙法蓮華経の五字、末法の始めに一浮提にひろまらせ給ふべき瑞相に日蓮さきがけしたり。わたうども二陣三陣つくきて、迦葉・阿難にも勝れ、天台・伝教にもこへよかし」(同 1057ページ)と仰せであります。
 私どもはこの御金言を拝し、明年に迫った宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築の達成へ向けて、いよいよ僧俗一致・異体同心して、力強く前進されますよう心から念じ、本日の挨拶といたします。