日如上人猊下お言葉
本日は、2月度の広布唱題会に当たり、皆様には新型コロナウイルス感染症により世情混沌としたなか、信心強盛に参加され、まことに御苦労さまでございます。
先月も申し上げましたが、宗門は本年、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大慶事をお迎えするに当たり、かねて法華講員八十万人体勢構築の誓願を立て、全国の指導教師および御信徒御一同が異体同心・一致団結して、万難を排し、勇猛果敢に邪顕正の折伏を行じてこられた結果、見事に誓願を達成することができまして、まことにおめでとうございます。
これもひとえに、皆様方の普段からの強盛なる信心と誓願達成にかける強い決
意、さらには弛まぬ努力の賜物と心から敬意を表するものであります。 まことに
おめでとうございました。
さて、今月は宗祖日蓮大聖人御聖誕の月であります。 皆様も御承知の通り、大
聖人様は今から八百年の昔、貞応元(一二二二)年二月十一日、安房国長狭郡 東条 郷片海 (現在の千葉県鴨川市) に御誕生されました。
大聖人様の末法出現については、既に三千年の昔、釈尊が法華経において予証
されているところであります。 すなわち、釈尊は法華経神力品において、
「日月の光明の 能く諸 の幽 冥を除くが如く斯の人世間に行じて 能く衆生の闇
を滅す」(法華経 五一六頁)
と仰せられております。
この御文について、大聖人様は『寂日房御書』に、
「経に云はく『日月の光明の能く諸の幽冥を除くが如く、斯の人世間にじて能く衆生の闇を滅す』と此の文の心よくよく案じさせ給へ。『斯人行世間』の五つの文字は、上行菩薩末法の始めの五百年に出現して、南無妙法蓮華経の五字の光明をさしいだして、無明煩悩の闇をてらすべしと云ふ事なり。 日蓮等此の上行菩薩の御使ひとして、日本国の一切衆生に法華経をうけたもてと勧めしは是なり」(御書 一三九三)
と仰せであります。
まさに、法華経神力品の「日月の光明の 能く諸の幽冥を除くが如く斯の人世間に行じて能く衆生の闇を滅す」との御文こそ、末法に久遠元初の御本仏日蓮大聖人様が御出現されることを、釈尊が予証されたものであります。
すなわち、日蓮大聖人は末法の御本仏として、本門寿量品受底下種の大法たる南無妙法蓮華経をもって末法本未有善の衆生を救済し、もって全世界の人々の幸
せと恒久平和実現のために御出現あそばされたのであります。
よって『報恩抄』には、
「日蓮が慈悲曠大ならば南無妙法蓮華経は万年の外未来までもながるべし。日本国の一切衆生の盲目をひらける功徳あり。 無間地獄の道をふさぎぬ。此の功徳は伝教・天台にも超へ、竜樹・迦葉にもすぐれたり」(同一O三六ページ)
と仰せられているのであります。
この『報恩抄』の御文は、大聖人の主師親三徳を明かされた御文であります。
初めに「日蓮が慈悲曠大」とは主師親三徳のなかには親の徳を、「一切衆生の目をひらくとは師の徳を、「無間地獄の道をふさぎぬ」とは主の徳を示されているのであります。
すなわち、宗祖日蓮大聖人様こそ、主師親三徳兼備の御本仏にして、弘通せら
れる大法は竜樹・迦葉・天台・伝教等にも勝れ、いまだかつて弘通せられたこと
のない未曽有の大法であります。
しかも、その大法は「南無妙法蓮華経は万年の外未来までもながるべし」と仰
せのように、末法万年尽未来際に至るまで尽きることなく流布し、永遠に一切衆生を救われるのであります。
今日、世間を見ますと、末法五濁悪世の世相そのままに、コロナ感染症などによって世界中が混沌としておりますが、これらを仏法の鏡に照らして見るき、『立正安国論」に、
「侍 微管を傾け聊 経文を披きたるに、世皆正に背き人 悉く悪に帰す。故に善神国を捨てゝ相去り、聖人所を辞して還らず。是を以て魔来たり鬼来たり、災起こり難起こる。 言はずんばあるべからず。 恐れずんばあるべからず」(同 二三四)
と仰せの如く、「世皆正に背き人悉く悪に帰す」すなわち間違った教え、つまり謗法の害毒によって様々な事件や障害が起きることを、我々はよくよく知るべき
であります。
したがって、真の世界平和と全人類の幸せを実現するためには、世界中の人々
に一人でも多く、そして一日も早く、御本仏日蓮大聖人様の本因下種の仏法を下種し、折伏を行事ていくことが肝要なのであります。これこそ今、我々がなすべき最も大事なことであります。
特に、本年は宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の記念すべき年であります。
されば、私どもは、
「総じて日蓮が弟子檀那等自他彼此の心なく、水魚の思ひを成して異体同心にして南無妙法蓮華経と唱へ奉る処を、生死一大事の血脈とは云ふなり。然も今日蓮が弘通する処の所詮是なり。若し然らば広宣流布の大願も叶ふべき者か」(同 五一四)
との御金言を心肝に染め、講中一結・異体同心の団結をもって、一人でも多くの
人に対して真心からの折伏を行し、全世界の人々の幸せと恒久平和を実現すべく、いよいよ精進されますよう心から願い、本日の挨拶といたします。