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貪瞋痴の三毒(どんじんちのさんどく)

教学用語

貪瞋痴の三毒

貪(とん)瞋(じん)癡(ち)の三(さん)毒(どく)とは、貪欲(とんよく)・瞋恚(しんに)・愚癡(ぐち)の三煩悩(さんぼんのう)のことで、その三煩悩が衆(しゅ)生(じょう)の善の心を最も害する根元の煩悩であることから三毒といいます。

日蓮大聖人は『観心本尊抄(かんじんのほんぞんしょう)』に、

「瞋(いか)るは地獄(じごく)、貪(むさぼ)るは餓鬼(がき)、癡(おろ)かは畜生(ちくしょう)」

(御書 六四七?)

と仰(おお)せのように、貪瞋癡の三毒は、地獄・餓鬼・畜生の三悪道の境界を表しています。

つまり、貪欲とは、自分の欲するものに執(しゅう)着(じゃく)して貪る心、餓鬼の生命をいいます。瞋恚とは、自分の心に違(たが)うものを瞋(いか)る心をいいます。瞋りは他人(ひと)に苦を与(あた)えるので、それが業因となって来世には自らが地獄の報いを受けます。愚癡とは、道理に迷う愚(おろ)かな心、本能的に動く畜生の生命をいいます。

病や不幸の根本原因は貪瞋癡の三毒

御隠尊日顕上人猊下(ごいんそんにっけんしょうにんげいか)は、

「仏法においては『身は心の従』と教えており、身体は心の善悪に従ってあらゆる変化が生じ、そこに種々の病気や不幸が現れるのであって、その病気の元は過去・現在・未来の三世にわたる心の因縁果報に存するのであります」(大白法 六〇九号)

と御指南されています。すなわち、一切衆生の種々の病や不幸は、すべて心の善悪により現れてくるのです。

では、その悪の果報を招く悪心とはいったい何でしょうか。それは、法(ほ)華(け)経(きょう)の『五(ご)百(ひゃく)弟子(でし)受記品(じゅきほん)』に、

「衆に三毒有り」(法華経 二九六?)

とあり、『大智度論(だいちどろん)』には、

「三毒は一切煩悩の根本たり」

また、

「根本の四病とは貪瞋癡等分なり」

とあり、さらに『摩訶止観(まかしかん)』に、

「四大は是(こ)れ身の病、三毒は是れ心の病」

(摩訶止観弘決会本)

と示され、また大聖人は『始(し)聞(もん)仏(ぶつ)乗(じょう)義(ぎ)』に、

「此(こ)の苦果の依身(えしん)は其(そ)の根本を探り見れば貪(とん)・瞋(じん)・癡(ち)の三毒より出でたるなり」(御書 一二〇八?)

と仰せのように、多くの煩悩の中でも、最も悪(あ)しきものが貪瞋癡の三毒であり、この三毒より見思惑(けんじわく)・塵沙(じんじゃ)惑・無(む)明(みょう)惑の八万四千の煩悩が派生するのです。

邪宗教によって三毒は強(ごう)盛(じょう)となる

『曽谷(そや)殿(どの)御返事(ごへんじ)』に、

「邪法をあいし、正法をにくむ、三毒がうじゃうなり(中略)飢渇(けかち)は大貪よりをこり、やくびゃうはぐちよりをこり、合戦は瞋恚よりをこる。今日本国の人々四十九億九万四千八百二十八人の男女、人々ことなれども同じく一つの三毒なり」(同 一三八六?)

と仰せのように、三毒は邪宗教によって悪循環(じゅんかん)し、増大していきます。つまり、正法に違背し、邪宗教を信仰することで、三毒は単に個人の不幸、迷いの根元となるだけではなく、貪りは飢渇、瞋恚は戦争、愚癡は疫病(えきびょう)を起こし、日本一国、さらには全世界の人々と国土の不幸の根元、悪の根元となるのです。

貪瞋癡の三毒を三徳と転ずる方(ほう)途(と)

では、これら貪瞋癡の三毒は、いかなる法によって退治することができるのでしょうか。『減劫(げんこう)御書』に、

「末代濁(じょく)世(せ)の心の貪欲・瞋恚(しんに)・愚癡のかしこさは、いかなる賢人聖人も治めがたき事なり。其(そ)の故(ゆえ)は貪欲をば仏不(ふ)浄(じょう)観の薬をもて治し、瞋恚をば慈悲(じひ)観をもて治し、愚癡をば十二因縁(いんねん)観をもてこそ治し給ふ」(同 九二四?)

とあるように、釈尊(しゃくそん)は上根上機の衆生に対し、貪欲は不浄を観ずることにより抑(おさ)え、瞋恚は慈悲をもって滅し、愚癡は十二因縁観をもって治す修行法を説いています。

しかし、同抄に、

「いまは此(こ)の法門をとひて、人ををとして貪欲・瞋恚・愚癡をますなり。譬(たと)へば火をば水をもってけす、悪をば善をもって打つ。しかるにかへりて水より出でぬる火をば、水をかくればあぶらになりて、いよいよ大火となるなり」

(同 九二五?)

と示されているように、末法(まっぽう)の本未有善(ほんみうぜん)の荒凡夫(あらぼんぷ)は、釈尊の脱益(だっちゃく)仏法を信仰しても、貪瞋癡の三毒を消滅(しょうめつ)しないばかりか、かえって貪瞋癡の三毒は強盛となり、全く意味をなさないのです。

御法主(ごほっす)日如(にちにょ)上(しょう)人(にん)猊下は、

「この貪・瞋・癡の三毒を三徳に転じていく、それにはただ一つ、大聖人様の仏法による以外にないのであります。煩悩即菩提ということが言われますけれども、まさにそれと同じことになるのであります」(大白法 六八七号)

と御指南されています。

すなわち、末法の衆生が貪瞋癡の三毒を退治するには、大聖人が『当体義抄(とうたいぎしょう)』に、

「正直に方便を捨て但(ただ)法華経を信じ、南無妙法蓮華経と唱ふる人は、煩悩・業・苦の三道、法身(ほっしん)・般若(はんにゃ)・解脱(げだつ)の三徳と転じて、三観(さんがん)・三諦(さんたい)即(そく)一心(いっしん)に顕(あら)はれ、其の人の所住の処(ところ)は常(じょう)寂(じゃっ)光(こう)土(ど)なり。能居(のうご)・所居(しょご)、身土・色心、倶(く)体(たい)倶(く)用(ゆう)の無作(むさ)三身(さんじん)、本門(ほんもん)寿量(じゅりょう)の当体蓮華の仏とは、日蓮が弟子檀那(だんな)等の中の事なり」(御書 六九四?)

と仰せのように、大聖人の文底(もんてい)下(げ)種(しゅ)の妙法を受持信行するところに、貪瞋癡の三毒は即三徳と転じ、即身成仏の本懐(ほんがい)を遂(と)げることができるのです。

宗門は今日、御法主上人猊下の御指南のもと、「平成二十一年・『立正安国論』正(しょう)義(ぎ)顕揚(けんよう)七百五十年」の佳節(かせつ)における「地涌(じゆ)倍増(ばいぞう)」をめざし、大前進しています。この大事な佳節に当たり、貪瞋癡の毒気に犯された一切の衆生に、最高最上の良薬である大聖人の妙法を服さしめるべく、一層、折伏に励(はげ)むことが大切です。

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